Amazon Location Serviceとは?(2)

2020年の11月に発表されたAmazon Location Service(ALS)について説明します。

これまで、マップ系はGoogelマップ一強でしたが、Amazon Location Service(ALS)により、マップ業界が根底から変わったと言われています。

Amazon Location Service のサービスとは?

特徴

Amazon Locationとは、地理空間データを使用して、Maps、Places、Tracking、Geofencing、およびRoutingといった機能を提供しています。

Maps

位置情報を視覚化する機能です。
ロケーションデータプロバイダーとしては、EsriおよびHEREから提供されたさまざまなマップタイルを提供しています。

Places

アプリケーションで検索機能を提供し、住所を緯度と経度の地理座標に変換したり(ジオコーディング)、座標を番地に変換します(逆ジオコーディング)。

Tracking

Tracking対応アプリケーションを実行しているデバイスの現在および過去の場所を即座に取得できます。これにより、デバイスのロケーショントレイルを使用して、在庫配置、製造順序付け、配送発送などの操作を最適化することができます。

Geofencing

追跡対象のデバイスがジオフェンスと呼ばれる事前に決定された地理的境界に出入りするときに、アプリケーションを検出して動作することができます。

Routing

アプリケーションは、任意の2つの場所間の移動時間、距離、および方向を要求できます。これにより、アプリケーションユーザーは、最新の道路情報と実際の交通情報に基づいて、移動時間の正確な見積もりを取得できます。

利用可能なリージョン

  • US East (N. Virginia)
  • US East (Ohio)
  • US West (Oregon)
  • Europe (Ireland)
  • Asia Pacific (Tokyo)

料金プラン

使用量に基づく課金体系であり、初期の3か月間無料でAmazon LocationAPIを呼び出すことができるそうです。
ただ、マップを表示するといったような使い方に限定した場合、Google Mapsと比較すると安く、マップタイルの1000個取得が0.04ドル(約4.13円)からというような料金プランを出しています。

私的に推していると思われる使用例と感想

結論からいうとGoogle mapのような地図表示、場所検索(場所名等から緯度経度を取得)や、緯度経度からの場所検索をするような使い方をするのであれば、Google mapのが慣れているにで使いやすいと思います。

ドキュメントを見るとmapの表示自体はグローバルロケーションデータプロバイダーのEsriおよびHEREを使う形になり、これを使うならGoogle mapの方が見やすい、ストリートビューを使える、開発するためのドキュメントやいろいろな記事があるあたり優秀かもしれません。

ちなみに、Amazon Location APIを使用するときのマップレンダリングツール

Amazon Location Serviceの優位な点が多数あり、それはmapの表示というよりtrackingとGeofencingという機能だと感じています。公式ドキュメントAmazon Location Service の特徴

これらは、私的にはかなり面白いと思っています。
Geofencingのみ少し深ぼりしてみたのですが、使用例として、予め定めたエリアの位置情報(https://docs.aws.amazon.com/location/latest/developerguide/add-geofences.html) を登録しておき、そのエリアに位置情報の更新を送信できるデバイスがいる時、その位置情報をリンクすることで、AWS側のEventBridgeで吸収、lambdaを発火し何かするような、使い方はイベント・ドリブンのオートマーケティングのツールとしては、かなり大きな可能性を持っていると思っています。

ユースケース

User engagement and geomarketing

位置データを使用して、ターゲットとする顧客へのマーケティングに対するユーザーエンゲージメントを改善するソリューションを構築します。

例:

モバイルアプリでコーヒーを注文した顧客が近くにいるときに通知を求めるイベントをトリガーできます。
さらに、geomarketing機能を構築して、小売業者が対象店舗の近くにいる顧客に割引コードやデジタルチラシを送信できるようにすることができます。

Asset tracking

資産追跡機能を構築して、企業が製品、人員、およびインフラストラクチャの現在および過去の場所を理解できるようにします。

例:

輸送中の出荷を保護し、発送効率を最大化する多数のソリューションを構築できます。

Delivery

位置情報機能を配達アプリケーションに統合して、出発地、配達車両、およびそれらの目的地を保存/追跡/調整します。

例:

Amazon Location機能が組み込まれた食品配達アプリケーションには、配達ドライバーが近くにいるときにレストランに自動的に通知できる位置追跡機能とgeofencing機能があります。
これにより、待ち時間が短縮され、配達される食品の品質が維持されます。

ドキュメント一覧

参考文献

捕捉説明

1)Esri について

  Amazon Location Service データプロバイダー – Esri ・・・ Esri – Amazon Location Service

2)HEREについて

  HERE Technologies ・・・ HERE テクノロジーズ

ジオコーディングサービスの精度と料金について調べてみました