Pythonとは?

Pythonとは

Python(パイソン)はWeb開発やデータ分析など、さまざまな分野に使える汎用性の高い言語です。なかでも、「人工知能(AI)」をはじめとした先端技術の開発で人気が高く、話題の「ChatGPT」もPythonで開発されています。

Pythonの特徴

Pythonの最大の特徴は「シンプルかつ短いコードで記述できる」という点です。たとえば、画面に「Hello World!」と表示するプログラムのコードを、同じく人気のプログラミング言語「Java」とPythonで比較してみましょう。

【Javaの場合】

import java.util.*;

public class Main {
    public static void main(String[] args) throws Exception {

        System.out.println("Hello World!");

    }
}

【Pythonの場合】

print("Hello World!")

このようにPythonのコードはとてもシンプルで、少ない記述量で済むことがわかりますね。単純に「コードが短い」というだけで、

  • コードの書き方を覚えやすい
  • コードを書く時間が短くなる
  • エラー箇所が分かりやすい
  • コードが読みやすく、後から修正しやすい
  • チーム開発で書き方を統一しやすい

のように多くのメリットがあります。コードがシンプルなため初心者にとって学びやすく、開発現場でも使いやすい言語です。Pythonが多くのエンジニアに支持されているのは、コードのシンプルさが大きな理由でしょう。

簡単に動作を確認できる

Pythonは、プログラム実行前の事前作業が不要なインタプリタ型言語のため、簡単に動作を確認できます。

インタプリタ型言語のPythonだと、コードはプログラム実行時に1行ずつ機械語に変換されます。そのため事前の変換作業が必要なく、コードに問題があっても問題箇所まではプログラムを実行できるのです。

書いたコードをすぐに実行できるため、プログラムの動きを確認しながらリアルタイムな実践学習が可能です。プログラムが全く動かせないことによる挫折感を軽減してくれるため、初心者でも楽しく学べます。

幅広い用途に活用できる

PythonはAI(人工知能)の開発で注目を浴びていますが、もともとAIのために作られた言語ではありません。汎用性が高く、幅広い用途に活用できるのもPythonの強みです。詳しくは後述しますが、次のような用途もあります。

  • Webアプリケーションの開発
  • スクレイピング(Webデータの収集・解析)
  • データ分析

AI開発だけでなく、こうした用途でもPythonの需要は高いです。Pythonのプログラミングスキルを身につければ、さまざまな分野で活躍するチャンスが増え、市場価値の高いプログラマーになれますよ。

開発を効率化するフレームワーク・ライブラリが豊富

Pythonには、開発を効率化する「フレームワーク」や「ライブラリ」が豊富にあります。フレームワークは作りたい機能の土台にできる骨組み、ライブラリは便利なコードをまとめて使いやすくした部品です。

フレームワークやライブラリを活用すれば、大規模なプログラムでも少ない負担で開発できます。代表的なフレームワークやライブラリは以下のとおりです。

名前概要
DjangoWebアプリケーションの開発で人気の高いフレームワーク。主要なWeb機能を簡単に作れる。
FlaskWebアプリケーション開発向けのフレームワーク。軽量で使いやすい。
BeautifulSoup4Webデータを取得するのに役立つライブラリ。後述のスクレイピングによく使われる。
TensorFlowAIに自ら学習させる「機械学習」に特化したライブラリ。Google社が開発・提供している。

Pythonで使えるフレームワークやライブラリは、上記以外にも数多く存在します。フレームワークやライブラリを用いて効率的に開発できるのも、Pythonがさまざまな用途で使われている大きな理由です。

参考: Python入門者に是非使ってほしい!便利なライブラリ10選

Pythonでできること

Pythonでできることを、5つにまとめて紹介します。

Webアプリケーションの開発

AIが普及する以前から、PythonはWebアプリケーションの開発によく使われてきました。「YouTube」「Instagram」「Dropbox」など、誰もが知るWebアプリケーションの開発にもPythonが使われています。

前記で紹介したDjangoやFlaskのように、PythonはWebアプリケーション開発に使えるフレームワークが豊富です。これらを用いることで効率的に開発できるメリットが大きく、Pythonがよく採用されます。

AI(人工知能)の開発

いまやビジネスでの活用も広がっているAIの開発言語は、Pythonが主流です。AIの活用シーンは次のように幅広く、これらの開発にもPythonがよく使われています。

  • Googleの検索結果表示
  • SNSの顔認識
  • Siri」や「Alexa」などの音声認識
  • ChatGPT」などの文章生成

話題となっているChatGPTの開発にも使われるほど、AI開発におけるPythonの需要は高いです。前述のTensorFlow以外にも、AI開発に使えるフレームワークやライブラリが多いため、今後もPythonが使われていくでしょう。

AI分野のトレンドは、人間の脳をコンピューターで再現する「機械学習」や「深層学習」です。機械学習では学ぶ方向性を人間が「特徴量」で示しますが、深層学習では「何を学ぶべきか」さえもコンピューター自身が見つけます。

スクレイピング(Webデータの収集・解析)

Web上のデータをプログラムにより収集・解析する「スクレイピング」にもPythonがよく使われます。たとえば、ショッピングサイトの商品データを収集してマーケティングに活用する、といったスクレイピングも可能です。

膨大に存在するWebサイトからデータを収集するとき、1つひとつ手作業でアクセスするのでは、膨大な時間がかかります。その点、スクレイピングによりデータ収集を自動化すれば、飛躍的な業務効率化につながります。

また、機械学習や深層学習を取り入れたAIの開発にあたっては、膨大な学習データの収集が欠かせません。Pythonだと、前述したBeautifulSoup4などのライブラリで容易にスクレイピングが行えるため、AI開発とも相性がよいです。

大量のデータ処理・分析

近年では、ビジネスにおけるビッグデータ(大量のデータ)の活用が注目されています。Pythonにはデータの処理・分析に役立つライブラリが豊富にあるため、ビッグデータの活用で使われることも多いです。

データ分析のエキスパートである「データサイエンティスト」の多くも、Pythonを実務で活用しています。データを高速処理できる「pandas」や、高度な数値計算が行える「Numpy」など、豊富なPythonライブラリが強みです。

また、経営に関するビッグデータを可視化・分析できる「BIツール」を使うときにもPythonは役立ちます。たとえば、BIツールの「Tableau(タブロー)」にはPythonとの連携機能があり、Pythonで高度なデータ分析が可能です。

ブロックチェーン技術の開発

「ビットコイン」に活用されていることで有名な「ブロックチェーン」の開発でもPythonが活躍しています。ブロックチェーン技術とは、データを複数のブロックに分散し、チェーン(鎖)のように連携させて管理する技術です。

ブロックチェーン技術には、高度な暗号化や改ざん検知などの仕組みがあるため、非常にセキュリティ性が高いといえます。そのため、ビットコインなどの暗号通貨だけでなく、次のようにさまざまなシーンに使われています。

  • スマートコントラクト(より強固で安心できる契約書)
  • トレーサビリティ(売買商品の追跡、履歴の保存など
  • より手軽な本人確認、身分証明

ブロックチェーン技術は、インターネット社会を根底から変える可能性があります。優れたフレームワークやライブラリの多いPythonは、ブロックチェーン技術の開発においても役立つ言語です。